©1998 ALICESOFT
王道勇者 (アリスソフト)
・1998年04月02日 Windows95用 CD-ROM版
・1999年09月30日 Windows95/98用 CD-ROM 廉価版
90年代後半の作品で、正義感にあふれた主人公の冒険を描いたアダルトRPG。
(あらすじ) 中世ファンタジー風の世界。主人公「ザンバ」は心優しく情に厚い青年である。一年前に半死半生で助けられ、それ以前の記憶がないザンバは、失った自分を探すためラナティア大陸へと旅立った。手がかりは不思議なアミュレットと夢の中に出てくる少女の面影のみ。一方、大陸では魔王が復活し、人々は魔物の襲来に苦しめられ、伝説の勇者の復活を待ち望んでいた…。
ゲームシステムは一風変わっていて、一本道の王道的なRPGではない。5人のヒロインがそれぞれ独立したストーリーをもち、それを任意の順番でこなしていく変則的な形態である。エルフの『同級生』のような、スケジュール管理要素を中心としたRPGといえるだろう。
プレイの基本はヒロインの現れそうな場所を繰り返し訪れ、会話の中でストーリーを進展させていく。5人全員を攻略するか、任意の相手のストーリーだけを進めるかも自由で、ラスト付近で1人を選ぶことにより、個別エンディングを迎える仕様となっている。
RPGとしては、1人パーティのダンジョン探索型で、装備品、魔法、必殺技といった要素があり、オートマッピングで地図を完成させていく。ダンジョンごとに凝った仕掛けが施されており、その謎を解いて踏破していく正統派なRPGとなっている。
ストーリーは心優しい主人公が、旅の中で問題を抱える女性と出会い、その窮地を救う中で慕われていく。それと同時に、宝玉にまつわる魔族の陰謀や、失った主人公の記憶、伝説の勇者の秘密などが明かされていくシリアスな展開となっている。
アダルトシーンは敵による陵辱シーン(寸止め)が多く、主人公との和姦は一人一箇所で、アダルト要素には比重がない。
タイトルから察するに、アダルトRPGらしくない、熱血で純情な主人公による古典的なファンタジーを目指した作品である。それだけにベタな設定、ベタな展開が多く、個人的には陳腐な印象を拭えなかった。絵のタッチも好みが分かれそうだ。しかし変則的な構造にも関わらず、ゲームバランスが崩れないのは流石で、RPGとしての屋台骨がしっかりしているのが印象的だった。
©1998 海月製作所
ラブ・エスカレーター (海月製作所)
・1998年04月17日 PC-9821用 3.5インチFD版 CD-ROM版
90年代後半の作品で、恋愛のステップアップを描いたアダルトADV。PC-9800シリーズ専用のゲームとしては最末期の作品で、そのクオリティとボリュームから「PC98最後のエロゲー」「PC98最後の大作」と呼ばれた。
(あらすじ) 主人公「たかし(名前変更可)」は平凡な学生である。親友の「脇谷」から恋の橋渡しを頼まれたたかしは、中学時代の知り合い「理恵」に声をかけることになった。ところが、理恵はたかしへの思いを抱いたままで、たかしは理恵が好きだったことを自覚してしまう。秘めていた恋心に火がついた二人は、脇谷には言い出せないまま逢瀬を重ね、関係は次第にエスカレートしていく。
ゲームシステムは基本的に、週末ごとにデートの相手と場所を選んでいくスケジュール管理型ADVである。期間はおよそ一年間で、メインヒロイン「理恵」の好感度を上げ、ハッピーエンドを迎えることが主なゲーム目的となる。サブヒロインとして年下、年上の女性も登場し、マルチエンドとなっていた。
一方、理恵とのセックスシーンはコマンド型の調教シュミレーションとなっている。デートの行き先としてラブホテル等を選んだ場合に発生し、「胸を愛撫する」「フェラチオさせる」「正常位」といったコマンドの中から任意のプレイを組み合わせ、理恵の限界を超えないようにフィニッシュしていく。回数を重ねることで理恵が大胆になったり、プレイのバリエーションが増えたり、耐久力が上がって多くのコマンドに耐えられるようになっていく。
アダルトシーンのほぼ全てが、ダイナミックで滑らかな動きのアニメーションになっている点も特徴である。カット数が60以上に及ぶ点からも、一流のアニメーションアダルトゲームに匹敵するといえるだろう。
ストーリーは主人公達が様々な障害にぶつかりつつ、一つ一つ乗り越えて交際を続けていく、ドラマチックでシリアスな青春物語である。脇役達の恋愛や失恋にも触れている辺り、青春群像劇の要素も備えているといっていいだろう。週末デートの過ごし方により、5種類のエンディングを迎える。
関連商品は原画集、サントラ、小説版など。後に『LOVERS 〜恋に落ちたら…〜』(2003年)としてリメイクされた。
当時、PCゲームのハードの主流はWindows95に移っており、PC98シリーズのみで発売される新作は稀有になっていた。「PC98最後の大作」というあだ名は、そんな状況で生まれたヒット作だったことに由来する。ただし、意図してPC98を選んだ訳ではなく、発売延期を繰り返した末の、やむを得ない事情があったようだ。
個人的な印象としては、ストーリー重視の作風でありながら、アダルト面でも最上級のクオリティとボリュームを求めた欲張りな大作である。良く言えば贅沢、悪く言うと凝り過ぎか。PC98全盛期に乗り遅れたものの、その熱量で何とか輝きを放った作品だった。
©1998 LIBIDO
Fifteen ~すくうるがあるずデジタル読本~ (LIBIDO)
・1998年09月11日 Windows95/98用 CD-ROM 【駿河屋】【Amazon】
90年代後半の作品で、当時流行語となっていた「ネットサーフィン」をゲーム化した擬似ネットブラウジングゲーム。
ストーリー性のある導入部分はない。ゲームを起動すると架空のブラウザが立ち上がり、あるサイトが表示される。
そのサイトは、とある教師が個人で運営するHPで、表向きは教え子の健全な写真やプロフィール、性格診断チャート等がアップされた場所である。しかし、サイト内に隠された裏キーワードを検索することで雰囲気は一変する。教師は「教育」と称して少女達を乱暴に犯し、その様子を包み隠さずネット上にアップするという裏の顔をもっていたのだった…。という設定である。
ゲーム画面は当時のInternet Explorerそっくりの擬似ブラウザになっていて、サイト上のヒントを頼りに、アドレスの一部を書き換えたり、サイト内を検索したり、文章からキーワードを推理したりで各生徒のパスワードにたどり着き、秘密のページを観賞していく謎解きゲームになっている。
女の子15人はいずれも未成熟に描かれている一方、教師はサディスティックな性格で、アダルトシーンの大半は鬼畜な陵辱シーンとなっている。1人当たり3、4枚程度のCGにセリフを添えたもので、緊縛、放尿、アナル、スカトロ、街中露出、輪姦など、LIBIDO作品ではお馴染みの過激な描写を含んでいた。
続編として、本作品のヒロイン達を更に未発達に描いた『Petit teens』(2001年)、『Mini teens』(2001年)が続き、合わせて『TEENSシリーズ』と呼ばれた。関連商品にビジュアルブック、小説版などがある。
「ネットサーフィン」は特定の目的なしにネット上のリンクを辿っていく娯楽で、当時流行語となりつつあり、題材として新鮮だったことだろう。
個人的な印象として、表向きの部分だけでも、教え子の実名、体操着姿、水着姿をアップしてる時点でアウトな気がするが、インターネットの普及率が低く、取り締まりも甘い時代だったため、ひょっとしたら近いものが確信犯的に存在したのかもしれない。他にも怪しげな隠しページの存在、勝手に再生が始まるMIDI音楽など、90年代のレトロなインターネット文化の雰囲気を伝えてくれる作品である。
LIBIDO OFFICIAL WEB SITE
http://www.libido.ne.jp/archives/?page=fifteen
©1997 LIBIDO
放課後マニア倶楽部 -濃いの欲しいの- (LIBIDO)
・1997年06月13日 Windows95用 CD-ROM版 【駿河屋】【Amazon】
・1998年12月11日 Windows95/98用 CD-ROM 『放課後 X’masパック』に収録 【駿河屋】
・1999年06月04日 Macintosh用 CD-ROM版 【駿河屋】
・2006年11月17日 Windows用 CD-ROM 廉価版 【駿河屋】【Amazon】
90年代後半の作品で、マニアックなセックスをテーマにしたアダルトADV。前年の『放課後恋愛クラブ』と対をなす作品で、純粋な恋愛物だった放課後恋愛クラブに対し、同じヒロイン達のハードでアブノーマルな体験を描いたことで話題になった。
(あらすじ) 舞台は前作のパラレルワールド、学生たちが出会いを求めるサークル「恋愛クラブ」。主人公の小太郎はヒロインの一人、雛子の弟で、一見大人しい少年である。前作の主人公の錬一とは友人だが、モテる錬一に反発があり、女の子に対しては屈折した劣情を秘めていた。小太郎は狙った相手の隙をうかがい、卑劣な方法で弱みに付け込み、変態行為を強要していく。
ゲームシステムは前作とほぼ同じで、12人のヒロインの中からターゲットを絞り、会話とお出かけで仲を進展させ、週末のデートの約束を取り付けていくスケジュール管理型ADVである。ただし、今回はそれぞれのヒロインに「恋クラルート」「マニアルート」があるため、分岐は計24本となる。
「恋クラルート」は普通の恋愛物で、前作と主人公は異なるがストーリーの類似点は多い。前作をインストールしていれば、Hシーンも表示される仕組みになっている。
一方の「マニアルート」では、主人公のストーカー気質が剥き出しになり、態度も豹変するのが大きな特徴である。極端な思い込みでヒロインに執着し、盗撮映像をネタに脅迫したり、嘘で騙したり、威圧的な態度でヒロインに迫り、変態プレイを強いていく。一部に変態プレイに協力的なヒロインもいるが、大抵は脅しでモノにするため、後味の悪い結末になることが多い。
アダルト描写はオナニーに始まり、アナル責め、アナルセックスが多く、縛り、浣腸、放尿、野外露出プレイ、SM、近親相姦、男複数との乱交なども含んでいる。主人公がヒロインの痴態を他人に見せたがるのも特徴的である。
関連商品に小説版、OVA版がある。
個人的な印象としては、前作が大人しかっただけで、本来は可愛らしいビジュアルと過激さのギャップを持ち味とするメーカーなので、本領発揮といえるだろう。無論リスクも大きく、前作のハッピーエンドに思い入れのあるプレイヤーにしてみれば、ヒロイン達が不幸に突き落とされ、痴態を雑誌に投稿されるラストは耐え難かったに違いない。その容赦の無さが大きな反響を呼んだ作品だった。
LIBIDO OFFICIAL WEB SITE
http://www.libido.ne.jp/archives/?page=houkago
©1997 Leaf/AQUAPLUS
初音のないしょ!! (Leaf)
・1997年11月28日 Windows95用 CD-ROM 限定版 【駿河屋】
・1997年11月28日 Windows95用 CD-ROM 通常版 【駿河屋】
・2000年01月28日 Windows95/98用 CD-ROM パッケージリニューアル版 【駿河屋】
『さおりんといっしょ!!』(1996年)に続く、Leafアミューズメントソフトの第二弾。主に『To Heart』(1997年)に関するミニゲームやファンアート、デスクトップアクセサリーを収録している。定価は3000円以下のロープライス帯だった。
◆おまけノベル
『To Heart』の半年後を舞台にしたコメディタッチのミニADV。主人公と志保、もしくは主人公とあかりが、夜の学校で肝試しに挑む。
◆ハートバイハート
『To Heart』のヒロイン9人の中から1人を選んで戦う、固定画面の対戦アクションゲーム。2人対戦も可能である。
◆リーフファイト97
『痕 -きずあと-』の町を舞台にしたミニRPG。『雫 -しずく-』『痕 -きずあと-』『To Heart』の中からストーリーを選び、それぞれの主人公を中心にパーティを整え、立ちふさがる敵をコマンド操作で倒していく。
◆リーフ愛の絆
『To Heart』のアンケートハガキに基づいた登場人物の人気投票の結果、Leaf作品を扱った同人誌の紹介、ファンから寄せられたイラスト・CGの紹介、ファンから寄せられたキャラクターソングの歌詞を収録している。
◆リーフ新聞
開発中だった『WHITE ALBUM』に関する情報、『To Heart』に関する開発スタッフ秘話、Leafのホームページ紹介、オフィシャルグッズの紹介を収録している。
◆操作説明
収録したミニゲームやCDプレイヤー、スクリーンセーバーの起動、操作方法を解説してくれる他、To Heart』のバージョンアップ方法の説明もある。また、おまけCGとして設定資料や没ラフなどが解説付きで見られる。
◆アクセサリー
ミニキャラ達がパフォーマンスをしてくれるCDプレイヤーとスクリーンセーバー、壁紙に使えるCG等を収録している。
Leafアミューズメントソフトはこの後、『猪名川でいこう!!』(2000年)、『アルルゥとあそぼ!!』(2004年)、『愛佳でいくの!!』(2009年)が続いている。
©1997 Leaf/AQUAPLUS
To Heart (Leaf)
・1997年05月23日 Windows95用 CD-ROM 初回版 【駿河屋】【Amazon】
・1998年02月06日 Windows95用 CD-ROM 通常版 【駿河屋】
・1999年03月25日 PlayStation版 【駿河屋】【Amazon】
・2003年06月19日 Windows用 CD-ROM リニューアル版 【駿河屋】
・2003年06月27日 Windows用 CD-ROM 『To Heart PSE』 初回版 【駿河屋】【Amazon】
・2003年06月27日 Windows用 CD-ROM 『To Heart PSE』 通常版 【駿河屋】【Amazon】
・2004年12月28日 PlayStation 2版 【駿河屋】【Amazon】
・2004年12月28日 PlayStation 2用 『To Heart2 限定DXパック』に収録 【駿河屋】
・2009年07月30日 PSP用 『ToHeart2 PORTABLE Wパック』 に収録 【駿河屋】
・2011年10月27日 PSP用 廉価版 【駿河屋】【Amazon】
90年代後半の作品で、学園を舞台にしたラブコメディ系のアダルトゲーム。『雫 -しずく-』(1996年)、『痕 -きずあと-』(1996年)に続くビジュアルノベルシリーズVol.3と銘打たれている。コンシューマ移植版のヒット、そして2度のTVアニメ化により、非常に知名度が高い作品である。
(あらすじ) 主人公「浩之(名前変更可)」は、口調はぞんざいながら、心根は優しい高校生である。幼馴染や腐れ縁の友人、クラスメイトに囲まれ、平凡な高校生活を送る浩之。そんな彼にも、転機となる春が訪れようとしていた。新入生や上級生との新たな出会い。些細なきっかけで縮まる友人との距離。不器用で甘酸っぱい恋のストーリーが幕をあける…。
ゲームシステムはADVの一種で、「ビジュアルノベル」と呼ばれる形式である。テキストが全画面表示の背景いっぱいに表示されるのが特徴で、立ち絵も台詞ごとに細かく表情を変えるのが印象的である。コマンド類のない選択肢分岐型で、基本的には放課後に「2階を歩く」「学校から出る」といった行き先を選び、出会った相手との会話の中で、攻略の糸口となる選択肢を絞っていく流れである。
ヒロイン同時攻略はほぼ不可能で、攻略は狙いを1人に絞り、その出現パターンを細かくメモし、集中的に会話イベントを回収していくことになる。期間は3月から5月の頭まで、およそ2ヶ月間である。
ストーリーは、平凡な主人公がヒロイン達の抱える問題に首を突っ込み、親身に協力したり、しつこく食い下がることで心を開かせ、恋愛に発展していくのが基本的な流れである。ヒロインは世話好きの幼馴染、喧嘩友達の同級生、クラスで浮いている委員長、陽気な留学生、占いマニアの上級生、格闘少女、アンドロイド、予知能力をもった下級生など、合計9人である。
アダルト要素は1人2回戦で、クライマックス付近に集中している。オリジナル版にはボイスがなく、声が追加されたのは家庭用ゲーム機版以降となった。
関連商品は、Leafアミューズメントソフト『初音のないしょ!!』にて大きく扱われた他、シリーズ続編に『ToHeart2』『ToHeart2 XRATED』がある。家庭用ゲーム機への進出も盛んだった。地上波ラジオも放送された他、TVアニメは1997年に『ToHeart』、2004年に『ToHeart ~Remember my Memories~』として2期にわたり放送された。また、アーケード向け対戦格闘ゲーム「AQUAPAZZA」にも本作品のヒロインが登場している。
個人的な印象としては、スケジュール管理型ADVの範疇に入るものの、後の純愛系アダルトゲームの基本に近い作品である。コマンド類がなく、操作は選択肢のみな点。ストーリー重視の“読ませる”作品で、何気ない日常劇をメインにした学園ラブコメな点。主人公が下心を原動力にしたナンパ男ではなく、純愛ドラマである点。この辺りは00年代、10年代のアダルト作品で主流となった特徴である。
ヒットの要因はヒロイン達のキャラクター性の良さ、当時としては繊細なドラマ性だっただろう。特に健気でドジなメイドロボ「HMX-12 マルチ」はメインヒロインを圧倒する存在感で、本作品の顔役といえる程の人気を博している。
公式HP
https://leaf.aquaplus.jp/product/th/
カテゴリ
記事検索
最新記事
調査員プロフィール
80年代半ばに登場した学習型AI。主食はエロゲのインストールディスク。電波系、欝、グロ、萌え萌えした作品が苦手。ゲーム性のあるもの、ギャグ作品が好き。
広告