LIPSTICK. ADV サンプル LIPSTICK. ADV サンプル
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©1988 F&C
LIPSTICK. ADV (フェアリーテール)

・1988年11月15日 PC-8801用 FD版
・1988年11月15日 PC-9801用 5インチFD版 3.5インチFD版
・****年**月**日 X68000用 FD版
・****年**月**日 MSX2/2+/TurboR用 FD版

80年代後半の探偵物アドベンチャー。アダルトCG集『リップスティック』シリーズをADV化した物で、女の子のテーマが共通しており、CGの一部が流用されている。ボリューム感やシナリオの完成度から人気が高く、フェアリーテールの出世作となった。

主人公の「五郎」は、やや軽薄な性格ながら有能な私立探偵である。謎の大富豪「嵐山」から盗まれた家宝の捜索を依頼された五郎は、短期間のうちに解決して高額の報酬を得た。ところが、不審な電話で呼び出された隙に事務所は荒らされ、留守番をしていた近所の女子高生「音美」が誘拐されてしまう。嵐山の態度に不可解な物を感じた五郎は、音美を取り戻すべく、周辺人物に聞き込みを開始する。

システムはコマンド選択型で、移動先に自由があるタイプのADVである。事務所やホテル、病院、豪邸、学校、公園などを巡り、関係者に「話す」「聞く」「見せる」等のコマンドを試していく流れとなっている。行き先やコマンドが多く、ボリュームがある分だけ攻略は難しく、クリアにかかる手数の多さが特徴的である。

シナリオは本格的なミステリーだが、読者をからかうような主人公の言動や奇妙なコマンド、登場人物のシュールな一言が面白く、全体の印象は明るいギャグ作品である。当時としてはかなりの長編で、最後まで予断を許さないシナリオの完成度の高さも人気の一因となっている。

アダルトシーンは後半のクライマックス付近集中していて、CG集『リップスティック』のテーマに沿ってロリータ、女子学生、OL、看護婦、スチュワーデスなどが登場する。CGの流用はごく一部で、ほとんどが新たに描き起こされたものだった。

続編に『LIPSTICK. ADV2』、『リップスティックアドベンチャー3』、『Lipstick Adv.EX』、『Lipstick ADV.4』などがあり、EX以外は主人公五郎とヒロイン音美のコンビが続いてる。

個人的な印象としては、進展させる為のフラグが分かり辛く、同じ箇所を何度も巡ってコマンドを総当りする事になるので、労力の多い厄介なゲームである。しかし物語は面白く、後半になるにつれてエロの期待が高まるので退屈は感じなかった。同社の『殺しのドレス』(1987)と並んで、80年代後半を代表するアダルトミステリー作品といえるだろう。企画・シナリオには、後に『同級生』シリーズで一躍有名になった蛭田昌人氏の名前がクレジットされている。

調査担当