141113_205723.png 141113_205902.png
141114_175922.png 141114_170803.png
©1991 ELF
ELLE (エルフ)

・1991年06月13日 PC-9801用 5インチFD版 3.5インチFD版
・****年**月**日 MSX2/2+ FD版
・****年**月**日 X680000用 FD版
・****年**月**日 FM-TOWNS版

90年代序盤の作品で、未来都市を舞台に犯罪と戦うサスペンスアドベンチャー。マウスを活用する斬新なアイコンクリック方式で名高い。

西暦2010年、世紀末から起こった戦争とクーデターにより、地球は汚染され、人類は数千万人まで数を減らしていた。「スウェイクラス」と呼ばれる特権階級の指導者達は、人類を滅亡から救う「メガロアース計画」を推し進めるが、これに反対する組織「ブラックウィドウ」のゲリラ活動が続いていた。彼らを排除するために結成された武装組織が「スナイパー」である。超Aクラスという凄腕のスナイパーである主人公は、身分を隠して新米スナイパーとして報道施設に駐在する支部に潜り込み、ブラックウィドウの首魁「ギミック」の手がかりを探っていく。

システムはコマンド型の探索ADVだが、操作方法がユニークで、コマンドメニューがない。操作はすべて、当時一般的になりつつあったマウスで行う。矢印型のポインターが人物の口の上に来れば「話す」の顔型アイコン、気になる絵柄の上に来れば「見る・調べる」の虫眼鏡型アイコン、といった具合に形が変化するので、直感的にコマンド探索できるGUIのような仕組みになっていた。

移動先に自由があり、同僚達の控室や上司の部屋、TV局、バー、病院、自宅など、街中の施設を巡って情報を集め、捜査を進めていく一本道の構造である。移動先、必要なコマンド数は多く、難易度は高めである。

ストーリーは不真面目で女たらしの主人公が、暴漢に襲われている女性を助けたり、惨殺された同僚の死について調べる中で手がかりを見つけ、犯人を追い詰めていくという、一見するとサスペンス風の推理物ADVだが、終盤には大きく方向転換するサプライズ展開が用意されていた。グロテスクな惨殺描写が多く、全体の印象はシリアスだったものの、緊迫した場面でもシュールな会話で笑いを誘うので、雰囲気はさほど暗くない。

アダルト要素は暴漢に襲われている女の子にアイコンで色々とイタズラができる他、女性を口説き落としてのセックス、一方的に好意を寄せられて迫られるケースなど様々である。「なめる」「もむ」「XXXする」などのアイコンも大活躍で、臨場感を盛り上げている。局部は無修正で、当時のエルフ作品に特有の縦筋一本で表現されていた。

後に『él』(2000年)として完全リメイクされ、さらにそれがアダルトOVA化している。

個人的な印象としては、アイコンがミステリーの謎解き用のツールとして上手く生かされており、遊び心やエロさの充実にも役立っていて、かなり意欲的な作品である。シナリオの重厚さと緊迫感、ビジュアルのクオリティも同世代では際立っている。ただ、マウスで小さなヒントを探すのは意外と手間がかかり、制作側の負担も大きかった為か、この方式が一般的になることはなかった。同社の『DE・JAⅡ』(1992)や『同級生』(1992)でも一部に使われるに止まっている。

調査担当