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©1994 HARD
ようこそシネマハウスへ (HARD)

・1994年01月28日 PC-9801用 3.5インチFD版

90年代中頃の作品で、SF風の世界を舞台に新米監督となって映画を作っていくシミュレーションゲーム。渋い作風と自由度の高さからカルト的な人気を誇った。

映画監督になるのが夢だった主人公(名前は任意)は、親戚の遺産が転がりこんでくる幸運に恵まれ、迷わず星間連絡船で映画の街「パライソ」に向かった。劇場「シネマハウス」のオーナーにあれこれと後援してもらい、多くの仲間に出会い、トラブルを乗り越えながら映画を撮り続け、街に溶けこんでいく主人公だったが、星間戦争に巻き込まれたパライソは次第に戦時色が濃くなり、戦況の悪化や軍の威圧、徴兵が映画作りに暗い影を落としていく。

システムは街中を散策するADVパートと、スケジュールを組んで映画を撮影するシミュレーションパートの2つで構成されている。

ADVパートは時間消費+体力消費するコマンド型で、2ヶ月毎にやってくる映画公開日に合わせて必要な物を手配していく。レストランやバー、広場などを巡回して作家から原作を買い、脚本家に依頼を出し、主演女優、助演俳優、助監督、カメラマン、美術、音楽家の知り合いを増やして、次回作のスタッフを選んでいくのが基本の流れである。また、様々なイベントが起こって撮影に支障がでるため、情報を集めて事件を解決する一般的なADV要素も備えていた。

シミュレーションパートは、断片になった各シーンの撮影を日程の空欄に配置していくスケジュール管理型である。期日に間に合わせる為に無駄なく詰め込む必要があるが、スタッフ同士が喧嘩をして機嫌が悪くなったり、主演女優が疲れて作品の完成度が下がっていくので、適度に休みを入れたり、宴会や麻雀大会を開いて不満を解消してやる必要があった。一般に能力の高いスタッフほどコストが高く、コミニュケーションに問題があるため、メンバーの選抜で悩むことになる。

完成した映画は作品内でショートストーリーとして流される。ジャンルは恋愛、SF、ホラー、ポルノ、コメディ、サスペンスの6種類である。原作だけで30本以上のストーリーがあるが、9人の脚本家の誰を選ぶかによってまるで違うジャンルの作品に変貌することがあり、3人の主演女優、3つの助演劇団によってキャストの顔も変わるため、作品のバリエーションは膨大な数にのぼる。組み合わせによって興行成績の当たりはずれが大きく、はずれが続くと資金繰りが苦しくなっていく仕様である。

一般的なゲーム目標は撮った映画が大ヒットを連発し、年に一度の「映画祭」で監督大賞を受賞する事だが、軍のプロパガンダ映画専門の監督になるEND、カジノで大金を稼ぐギャンブラーEND、主演女優の誰かと結ばれるENDなど、遊び方によっては特殊なエンディングを迎えることがあった。

ゲーム自体の世界観はSFだが、どこかノスタルジーを感じさせる独特の雰囲気があり、仲間が一人、また一人と徴兵されていったり、麻薬で摘発されたり、仲間割れを起こしたりで顔ぶれが変わり、寂寥感を漂わせる。

アダルト要素は主に、原作がポルノの作品を撮った際、もしくは普通の原作をポルノ専門の脚本家に任せた際に発生する映像で、内容は恋愛物からコメディ、SF、ホラーなど様々である。また、シリアスな映画の中で唐突にお色気を挟むネタプレイができたり、カジノのブラックジャックで連勝してディーラーを脱がせることができたり、定期的に「あやしい店」でのストリップCGが変わるなど、オマケが所々に仕込まれている。

個人的な印象としては、アダルトゲームとして遊べるほどアダルト要素が豊富な一般ゲームである。操作性やバグの多さで洗練度の足りない部分があるものの、ゲーム性の良さ、やり込み要素に光るものを感じる。当時のパソコン情報誌に絶賛され、ジワジワと人気が広がったようだ。体制に押し流されていく中、最後まで仲間が集まって一つの事に熱中する展開は、古い青春映画を見るようで素朴ながら味わい深い。

調査担当