日本のアダルトゲームに触れたことのない初心者、海外出身の方が疑問に持ちそうなエロゲ内の当たり前。数多くこなしている内に不思議に感じなくなり、受け入れてしまうのですが、「現実には有り得ない」と頭の片隅に置いておかないと、トラブルの原因になる可能性もありますので、現実との乖離をチェックすることは、若いプレイヤーの社会性を維持する上で重要です。

ここでは特に、2017年現在において、日本国内で主流となっている男性向け学園物の恋愛ADVにおいて特に顕著な、エロゲ内でだけ通じる特殊な常識を集めてみました。


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素材提供:TiSport Dragos
髪の色は自由

ヒロインの髪の毛の色は、現実の日本人でも一般的な黒色、茶色に加え、紺色、水色、金色、緑色、紫色、赤色、ピンク色等々、様々な色で描かれます。染髪なのか明言されておらず、大抵は地毛の色です。本人達も周りも全く疑問を持ちませんが、彼女たちはごく一般的な日本人です。

これはエロゲに限らず、全年齢向けのアニメにも共通しています。原画の時点で顔が似てしまう二次元の美少女にとって、髪の色は重要な個性になります。


肌の色が白い

ヒロインはアジア系の留学生、スポーツ少女、意図的に日焼けした「ギャル」を除き、大抵は極端に色素の薄い肌の色で描かれます。黒人ヒロインはほぼ登場しません。

個人的な意見として、これは白人への憧れというより、日本人の伝統的な美人観として、肌の色が極端に白い女性が好まれてきた、という事情が強いように感じます。


目は大きく、鼻と唇は目立たないように

目は大きめ、下まつげは控えめ、キラキラした虹彩が印象的です。一方、鼻は鼻腔がなく、低い円錐状の形をしていて、正面から見ると小さな陰影だけで表現されます。唇は薄く、色はほとんど着色されないので肌色です。化粧っけも好まれません。海外の作品と比べて特に違いを感じる部分です。

個人的な意見として、これは日本のアダルトゲームの源流となった少年向けの漫画において、ヒロインの細かな鼻や口の描写が簡略化されていたからだと思います。


ヒロインは18歳以上

登場するヒロインは全員が18歳以上です。学生服を着用し、高校のような学校に通っていますが、高校生ではありません。これは自主規制団体であるソフ倫の審査をパスするために生み出された、日本のアダルトゲーム特有の設定です。

学園物のアダルトゲームは90年代序盤あたりから流行し始め、1996年頃までは12~18歳あたりのヒロインが堂々と年齢を明かしていましたが、ソフ倫の倫理規定が適用されてからは、18歳以上であることが強調される一方、具体的な年齢は明言しなくなり、「〇〇高校」といった学校名を「〇〇学園」と言い換えることで、従来のままの作品がかなり強引に適法化され、慣習化されて現在に至っています。

日本独特ですので、海外では倫理的に通用しない可能性があります。


何が何でも学園生

日本の多くのメーカーは、主人公とヒロイン達が「学園生」であることに強いこだわりがあります。授業として魔法を習ったり、敵の怪物と命がけで戦ったり、VIPの護衛をしたり、犯罪者を取り締まったりしますが、高校風の学園に通って青春を送るという設定は外せません。財閥のお嬢様や学園経営者、お姫様、アイドル、人気声優が同じ学園に通っているのも珍しいことではありません。

この設定へのこだわりは、少年誌のラブコメやラノベ、TVアニメの影響を受けていると考えられます。同時に、ハイティーンの女の子たちとの学生生活が、年齢を問わず大多数のユーザーにとって憧れであり、支持されていると見ることもできます。


奇抜な制服

学生服は作品毎にオリジナルデザインの物が用意されるのが一般的です。特に女性用の制服は、巨大なリボンや装飾が付いていたり、極端にミニだったり、胸を強調していたりと、かなり突飛で自由なデザインになっています。

現実の制服はもっと保守的で、それほど目立つデザインは存在しません。


ブルマ

現代人が想像する形の「ブルマ」が、学校指定の体操着となった期間はそれほど長くありません。東京オリンピック後の60年代後半から徐々に広まり、70年代~80年代にかけて一般化したものの、90年代には追放運動が起こり、00年代には指定する学校がほぼ無くなりました。以後は陸上競技の選手に使われる程度です。

しかし、アダルトゲームでは根強い人気を誇り、10年代に入っても体育授業で使われているケースをよく見かけます。その際、「今では絶滅寸前のブルマを採用している珍しい学校」といった説明とセットになっている所までがお約束です。現実的なハーフパンツ姿の方が珍しいくらいです。


陰毛が生えてない

作品にもよりますが、陰毛は描かれず、女性の局部はツルツルなのが一般的です。一方、現実の成人女性で全くの無毛、またはツルツルになるほど極端な手入れしている人は、かなり珍しいかもしれません。

これは男性側の好みもありますが、かつて陰毛が写りこんだ画像、映像が、猥褻物として警察の取り締まりにあっていた時代の名残として、近年までソフ倫が陰毛の表現を禁止していたことに由来します。


ヒロインは処女

学園物の場合、当然のように出会った時のヒロインは処女です。合コンにも行きません。いかにも男性経験のありそうな、年上の余裕を感じさせる女性ヒロインであっても、実は一切の男性経験がなかった、という描写になっているのが一般的です。これは、特に男性が相手の純潔性を好むことに由来しています。

現実の社会では、ご存知の通り、より開放的で男女交際は活発に行われています。世界的にみても、日本女性だけが特別に貞操が固いということは無いようです。


女の子が感じやすい

登場するヒロインは、処女であっても感じやすく、初セックスでは痛がりながらも、次第に快感が上回り、ついには絶頂を迎えてしまうのが一般的です。また、快感のあまり卑猥な言葉を連呼したり、舌足らずな言葉遣いになったりします(例:おチンポしゅごいのおぉ)。

現実には個人差があり、経験の少ない内からオーガスムを感じる女性は一般的ではありません。プロ以外は自分から扇情的な言葉を連呼することもありません。


泣き顔、アヘ顔

ヒロインが破瓜の痛みや歓喜のあまり、涙を浮かべながらセックスする表現はごく一般的に使われています。しかし、中には快楽と興奮で涙を流すのが標準な作品もあり、極端な場合、白目がちになり、舌を出したり、涙や鼻水、涎を垂らしたりと、だらしない顔で絶頂を迎えることがあります。上述の「女性が感じやすい」の延長上にあるオーバーな表現です。

現実には、苦しげな表情をすることがあっても、涙を流しながら絶頂する女性は一般的ではありません。二次元のアヘ顔は、激しいセックスで失神しやすい女性や、薬物の使用によるトリップ状態に着想を得た、独特のオーバーな表現ではないかと思います。


主人公が絶倫

セックスでの主人公は、人間離れしているほど精力的にタフです。具体的にはフェラチオで大量に射精した後も勃起が収まらず、そのまま本番行為に突入し、ヒロインと共に果てるのが一般的です。作品によっては、そのまま体位を変えて三度目、四度目の射精を迎えます。白濁液の量も大げさに描かれるのが普通で、射精時は深々と挿入された状態で、女性器から溢れ出してくる表現になっています。

実際には、若い男性でも連続で射精するには休憩が必要になると思われます。射精量は2~6mlが平均で、小さじ一杯分ぐらいになります。


コンドームは使用しない


ゲームでは避妊具を使わないのが一般的です。膣内に射精しても妊娠することは稀です。「中に出す」「外に出す」という選択肢は、白濁液の描写の好みを選ぶためだけにあり、避妊を考える必要はありません。作中で小道具的にコンドームが登場するケースもありますが、恋愛が進展することによって、ヒロインが自ら生セックスを望むようになるのが一般的です。

現実では、避妊具の使用は大人のエチケットです。いくら安全日であっても、生セックスは避妊、感染症予防の面から推奨されていませんので、特に学生の間は控えた方がよいでしょう。


いきなりアナルセックス

後ろの穴に興味を示した主人公が、いきなりズブズブと挿入してしまう描写です。女性は拒絶反応を示すことが多いものの、やがて感じ始めて共に絶頂してしまいます。90年代はSM系の作品に限られていましたが、次第に穏当な恋愛物でも散見されるようになりました。

実際は潤滑剤を使用せずに挿入することは難しく、女性が快感を得るためには、かなり慣れが必要といわれています。衛生面からも、怪我を避けるためにも、女性側の入念な準備が必要です。しっかりとした同意と協力を得て行いましょう。


足コキで射精

00年代序盤に登場し、マイノリティながら少しずつ浸透してきた表現です。女性が両足の裏で男性器を挟み込み、上下にさすって射精するところまで描かれるが一般的です。

当然のことながら、実際は男性器を締め付けるほどの力が入らないので、前戯としてはありですが、射精に導くのは困難です。


ローションなしでパイズリ等

ローションなどの潤滑剤なしで突然始まるパイズリ、腋コキ、素股などのプレイ。足コキと同じく、そのまま射精するまで描かれるのが普通です。ヒロインが唾などを垂らして潤滑剤代わりにするケースもあります。

現実には、足コキと違って射精できなくも無さそうですが、摩擦が多くて痛そうなので、やはり十分な量のローションが必要になるでしょう。


終わりに

冒頭にも書きましたが、本稿は特有の表現を貶める目的で書いたわけではありません。出発点は「何故こうなったのか?」という興味本位ですが、不慣れな人の違和感を探ることは、新たなゲーム開発の着想を得たり、エロゲファンと一般人が住み分けたりする上で重要だと思います。また、エロゲの表現に気に入らない部分がある方にも、妥協点を探る一助になればと願っております。


調査担当