©1995 desire/エクセレンツ
V.R.デート☆五月倶楽部 (Desire/エクセレンツ)・1995年08月25日 PC-9801用 5インチFD版 3.5インチFD版
・1996年10月25日 Windows95用 CD-ROM版
・2001年05月11日 Windows用 CD-ROM 『五月倶楽部DX』 【駿河屋】【Amazon】
・2005年05月13日 DL販売開始(DX版) 【DLsite】【Gyutto】【DMM】【DL.Getchu】
・2006年09月29日 Windows用 CD-ROM 『五月倶楽部DX』 廉価版 【駿河屋】【Amazon】
90年代中頃の作品で、仮想空間を舞台に様々な女の子が口説けるナンパ系のアドベンチャー。五月倶楽部の読みは「メイ・クラブ」で、「メイク・ラブ」とのダブルミーニングになっている。
舞台は技術が進み、バーチャル・リアリティが珍しくなくなった近未来。主人公「肇」は社会人デビューを控えた大学生である。街角でのナンパに励もうと思っていた矢先、新手の出会いサービス「五月倶楽部」の広告を目にした肇は、興味を抱いて繁華街にあるビルに向かった。五月倶楽部は主人公の住む街をそのまま再現し、会員の見た目も正確に反映され、触感も伝わる、リアルな仮想空間が売りの最先端な出会いスポットだった。肇は高額なプリペイドカードを購入し、理想の彼女を手に入れるため、VR内で出会った女の子たちに積極的に声をかけていく。
ゲームシステムは、当時流行のスケジュール管理型ADVである。2月中頃から3月末まで毎日、朝、昼、夜ごとにVR内の繁華街や駅前、路地裏、ラブホテルなどを巡回し、出会った相手との会話イベントを進展させていく。出没する場所や時間帯、曜日はある程度の法則性があるため、自力攻略は細かいメモを取り、自分なりのスケジュール表を作っていくことになる。
移動先に自由があるものの、他にコマンドはなく、操作は移動先の選択と、選択肢の組合せである。攻略は複数ヒロインの同時進行が可能だが、残り日数に関係なく、仲が進んだ時点で個別エンドを迎えることが多いのが特徴である。
ヒロイン達の立ち絵が、セリフ毎に表情やポーズを変えるのも特徴的で、後に一般的になる表現だが、時期的に早く、おそらく先駆者といえる作品である。当時は小さな顔ウィンドウ内で喜怒哀楽を表現する程度で、立ち絵そのものを変化させる作品は他に見当たらない。
シナリオは、軽薄で調子のいい性格の主人公が、座席型VR装置を備えた個室を借り、プリペイドカードの残高を消費しながら、仮想空間内でナンパを繰り広げる流れである。女性は夫の不倫疑惑、職場への不満、片思い、失恋、性格や肉体へのコンプレックスなど、現実世界で重大な問題を抱えているケースが多く、主人公が相談に乗ったり、騙されたり、熱く説教したりしながら心を掴み、セックスに発展していく。
VR内のヒロインと、現実のヒロインの姿にギャップがあるケースが多いのがシナリオ上の特徴で、実は地味な性格だったり、男だったり、非常に若かったり、逆に子供じゃなかったりと、2つの側面が楽しめる。ヒロインは9人で、中には極端に未成熟な肉体表現になっている場合もある。セックスシーンはVR内で1つ、現実世界で1つが基本である。
後に『五月倶楽部DX』としてリニューアルされた。シリーズは『V.R.デート☆五月倶楽部2』が続き、『陵辱サンタ』との組合せでDVD-PG化している。
個人的な印象として、テーマやゲーム要素は人気の後追いの形だが、操作性やゲーム性が洗練されていて、程よい攻略要素が楽しめる作品である。また、インターネットが一般的でなく、ネットゲームも原始的だった時代にも関わらず、VR空間がMMO的な多人数の同時参加で、既にネカマやハッカーが出没し、人々が開放的なのは興味深い。優れた未来予測をもった作品といえるし、外した部分は狙ったものではないにしろ、ユーモアを感じさせてくれる。もちろん技術の発展により、この先VRが出会いサービスに利用される可能性も大いにあるだろう。