©1989 辰巳出版
とらわれペンギン (辰巳出版)・1988年12月**日 PC-8801用 FD版
80年代後半の作品で、同名の成人漫画をゲーム化したアダルトRPG。
舞台は断崖の丘にそびえる「研究所」。そこでは囚われた人間達がクローン技術と快楽により実験材料にされ、恐ろしいモンスターへと改造されていた。囚われた実験体の1人であるプレイヤーは、複数のクローンを作ってモルモットルームから送り出し、卑猥な姿をした怪物達を倒しながら脱出方法を探していく。
ゲームシステムはウィザードリィ風の、3D視点のダンジョン探索型RPGである。1人パーティだが、複数の主人公を作成する事ができ、アイテム倉庫の共有などで互いにサポートし合える仕組みである。男女で装備品が異なり、「女子高生」「忍者」「ヤクザ」などのクラスチェンジも男女によって制限があった。
シナリオは、プレイヤーが作成したクローンが実験室から抜け出す所から始まり、「スクール水着」「ブラジャー」「コンドーム」などの装備品を集め、各階層のボスを倒すことで次の階の暗証番号を入手していくのが基本パターンである。ステータスやアイテムはアダルト用語にちなむ場合が多く、HPにあたる精力(HORMON)が尽きると、捕まって快楽の虜にされてしまうバッドエンドが待ち受けていた。
原作となった森山塔(山本直樹)の『とらわれペンギン』は、成人漫画ながらシュールな世界観と文学性、難解さを含んだオムニバス形式の作品で、当時カルト的な人気を誇ったようだ。ゲームの方はテンポやゲームバランス等で今ひとつの仕上がりだが、シリアスでグロテスクな描写とギャグタッチの設定が入り混じった、不思議な作風が印象的である。