©1993 STUDIO TWINKLE
分裂守護神トゥインクル☆スターAct.1 (STUDIO TWINKLE)・1993年07月29日 PC-9801用 5インチFD版 3.5インチFD版
90年代序盤の作品で、SF好きの少年が4人の変身ヒロイン達と共に悪と戦う、ギャグタッチのアダルトアドベンチャー。末尾に「Act.1」と表記される場合が多く、作中でも次号に続くことがアナウンスされているが、同社の解散によって続編が出ることはなかった。
舞台は現代の日本。SFに熱い情熱を傾ける高校生「討魔 ごう(名前変更可)」は、明るく能天気なウェイトレス「るみな」に出会い、自身の中に六芒星世界の守護魔導師「トーマ」の魂が転生したことを知らされる。るみなはトーマの守護神「スタールビー」の、4つに分かれた感情因子の1人だという。破死裏獣と名乗る怪人たちの凶行に巻き込まれた討魔は、感情因子の女の子とHをすることでトーマの力の一部を取り戻し、彼女達と協力して破死裏獣を撃破していく。
システムは選択肢タイプのADVだが、選択肢によって分岐やゲームオーバーがある訳ではなく、主人公が真面目にリアクションするかボケるか、という程度の違いで、移動先の自由もない一本道の展開である。
特徴的なのは戦闘の前哨戦として、怪人の呼び出した雑魚を掃討するガンシューティングのようなアクション要素がある点である。魔方陣の形のカーソルを敵に合わせ、自身の体力が尽きる前に殲滅すればシナリオが進行する。本格的なゲーム要素という訳ではなく、ミニゲームに近い。
シナリオは4話構成になっていて、それぞれ4人のヒロインの登場回になっている。学校、デパートの屋上、ディスコなどを舞台に、主人公と「喜」「怒」「哀」「楽」の感情を象徴する4人のヒロインとの出会いや、なりゆきでのセックス、アニメーションする変身シーン、怪人との対決などが描かれる。調子のいい性格の主人公と、一癖あるヒロイン達、シュールでおバカな怪人の賑やかな掛け合いが特徴的である。
アダルトシーンは各ヒロインに2つほどある他、一部の怪人にも存在する。物語前半では3種類のアイコンを使い、女体を丹念に愛撫しなければ先に進めないようになっていた。
少女向けのTVアニメ『美少女戦士セーラームーン』が大ブレイクした年で、変身ヒロインのバトル物という新テーマはアダルトゲームにも影響を与え、そこそこ定着した。本作の個人的な印象としては、『CAL』などの流れを汲む作品で、ギャグストーリーとして十分面白く、ビジュアルもセックス描写も丁寧、凝った変身シーンやゲーム要素も好感がもてるものの、物語の半ばを過ぎた辺りから新キャラの扱いが雑になり、展開も急ぎ足になるのが気になる。良作ながらどこか物足りない仕上がりである。