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ハーレムブレイド (戯画)・1996年04月26日 PC-9801用 3.5インチFD版
・1999年06月11日 Windows95/98用 CD-ROM版
90年代中頃の作品で、中世ファンタジー世界を舞台にしたアダルトRPG。『V.G. -ヴァリアブル・ジオ-』や『STEAM HEART'S』など、ゲーム性重視の作品を手がけていた『戯画』の5作目にあたる。
舞台は中世風の王国メイプリーズ。主人公「カイン」は高名な勇者の息子だが、スケベで不真面目な性格で、ぐうたらな生活を送っていた。一方、弟の「アベル」は世界中で華々しい活躍を果たし、名だたる勇者として故郷に帰ってきた。二人は幼馴染の美少女「ショコラ」をめぐって衝突するが、そんな中、ショコラが謎の光に包まれて消えてしまう。これを魔王ガルガンチュアの仕業とみたアベルは、自ら一ヶ月の期限を定め、魔王の討伐に旅立つ。一方のカインも、夢に現れた女神のお告げや、ショコラの残した言葉に引っ掛かりを覚えつつ、弟の跡を追うように冒険の旅へ出るのだった…。
ゲーム操作は2D見下ろし型で、町の中やダンジョンでは、上下左右にスクロールさせながら探索していく一般的なRPGである。一方、町から町へ、町からダンジョンへ、といったマップ間の移動にはフィールドマップが登場するものの、行き先は固定でフィールド散策は省略されている。戦闘は普通のコマンドバトルで、最大3人パーティ、メンバーの入れ替えは自由である。
本作品の大きな特徴は二つある。一つは主人公たちのLVや金銭、持ち物が、ゲームクリア時の状態のまま、再スタート時に引き継げる周回要素である。当時のアダルトRPGとしてはかなり先進的といえるだろう。
もう一つの特徴は、エルフの『同級生』のような、スケジュール管理要素が取り入れられている点である。当時のRPGとしては風変わりで、移動毎に時間が経過し、野放図に自由度が高く、ヒロイン達の攻略は任意である。ヒロインは15人も登場し、それぞれ独立のストーリーをもち、イベントは各地で並行して起こる。複数の同時攻略もある程度は可能だが、日付や時間のバッティングが多く、細かいフラグの検証が必要となる。そのため、各ヒロインの攻略はセーブ・ロードを繰り返しとなり、自力攻略の難易度はかなり高い。
シナリオの基本的な流れは、主人公が実力をつけて国王から認められ、魔王の住むダンジョンへの立ち入り許可をもらい、一ヶ月以内に魔王を討伐するまでのストーリーである。その途中、目の見えない少女の願いを叶えたり、貧しい子供に毎日恵んだり、濡れ衣を着せられた女性の身代わりに逮捕されたりで、女の子達から熱烈に求められるイベントが発生する。ゲームクリア後、Hに至った相手の中から一人を選ぶことにより、個別のエンドを迎える。
ヒロインの名前がお菓子からとられていたり、露骨なパロディが登場するなど世界観は緩く、メインヒロインのシナリオを除き、作風は全体的にコミカルな印象である。
ヒロインは国王の一人娘、王妃、シスター、中華なまりの召使い、盗賊団の元首領、騎士娘、賞金稼ぎ、売れっ子の娼婦、医療魔法の使い手、酒場のマダム、サキュバスなどで、Hシーンは基本的に一人一箇所である。主人公の悪人度にあたる「カルマ」というパラメータがあり、悪人でなければ見られないSMチックなプレイ、陵辱イベントも存在する。
続編に『ハーレムブレイド2』(2000年)がある。関連商品にCG&原画集がある。
個人的には、操作性や画面表示で粗っぽい点が目立ち、RPGとして洗練されているとは言い難く、序盤の印象は悪い。ところがゲーム性は意外に良く、やり込み性やストーリーの奥行きもある。ビジュアルシーンは癖が強いものの、見慣れると味があって面白く、ボリューム感は高い。嗜好が合えばかなり遊べる内容だったといえるだろう。ちなみに、OP映像にはボイス付きの主題歌が流れる仕様で、FM-TOWNSやコンシューマでは見かけるが、PC-98用のゲームとしてはかなり珍しいのではないだろうか。