©1985 ENIX
軽井沢誘拐案内 (ENIX)・1985年05月**日 PC-8801用 FD版 カセットテープ版
・1985年08月**日 FM-7用 FD版 カセットテープ版
・1985年10月**日 X1用 FD版 カセットテープ版
・1986年09月**日 PC-6001用 カセットテープ版
・1986年12月**日 MSX用 カートリッジ版
・2005年07月19日 携帯用アプリ(iモード EZweb Yahoo!ケータイ用) 配信開始
80年代中頃の作品で、高級リゾート地を舞台にした推理アドベンチャー。『ポートピア連続殺人事件』(1983)、『オホーツクに消ゆ』(1984)に続く堀井雄二氏のミステリー3作目だが、一部にアダルトな演出が含まれていた為か、唯一ファミコンに移植されなかった隠れた名作となった。
軽井沢の別荘に住む恋人「クミコ」の元を訪れた主人公は、行方不明になったという彼女の妹「なぎさ」の捜索を手伝う事になる。しかし、街の住人達の話を聞いてまわり、付近の痕跡を調べているうちに、クミコにも不審な点が浮かび上がってくる。果たしてクミコは何を隠しているのか、なぎさとは一体・・・?
システムはコマンド型のアドベンチャーで、操作はほぼテンキーのみである。上下左右にスクロールする2D俯瞰型のフィールドマップを歩き回り、「OOの家」「ドライブイン」等に立ち寄って住人達との会話からヒントを集め、順序良く謎を解いていく流れとなっている。
途中、探索画面でカーソル移動による部屋の物色があったり、最終章では突然RPG仕立てになったりと、コマンドAVGの枠に囚われない多様なゲーム要素が詰め込まれていた。
シナリオの序盤は、シリアスで大人の雰囲気を漂わせる本格ミステリーだが、中盤あたりからギャグ傾向が強くなっていく。アダルト要素は濡れ場(未遂)が一箇所あるのみで、あくまで一般ゲームのサービスの範囲だが、パンチラシーンが非常に多く、パンチラが重要な役割を果たすケースもあるなど、お色気にもそれなりに比重が置かれていた。
個人的な印象として、推理物としてよく出来ており、ボリューム感も高く、堀井氏本人が手がけたといわれるビジュアルもクオリティが非常に高い。また、パスワードによる再開が普通だった当時にあって、好きな時にセーブできる先進的な装備を備えていた。後半のおちゃらけとRPGパートについては賛否両論があるようだが、翌年から堀井氏が手がけた『ドラゴンクエスト』シリーズに通じる、遊び心あふれた作品といえるだろう。