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©1996 Leaf/AQUAPLUS
痕 -きずあと- (Leaf)

・1996年07月26日 MS-DOS用 FD版
・1996年07月26日 Windows95用 CD-ROM CDケース版
・1996年07月26日 Windows95用 CD-ROM DVDケース版
・2001年01月**日 Windows用 CD-ROM DVDケース 修正版
・2002年07月26日 Windows用 CD-ROM リニューアル 限定版 通常版
・2003年06月19日 Windows用 CD-ROM リニューアル 新装版
・2009年06月26日 Windows用 DVD-ROM 再リニューアル 初回限定版
・2009年09月18日 Windows用 DVD-ROM 再リニューアル 通常版
・2011年12月09日 ダウンロード販売開始 【DMM
・2011年12月09日 ダウンロード販売開始 『痕+雫 セット』 【DMM
 
90年代中頃の作品で、男子大学生が猟奇事件に巻き込まれていく伝奇系のアダルトアドベンチャー。Leafのビジュアルノベルシリーズの2作目。

主人公「耕一」は平凡な大学生。別居中の父親とは長く距離を置いていたが、父が事故死を遂げた後、父が大黒柱となっていた柏木家の屋敷に滞在することになった。そこに暮らすのは親戚で幼馴染の四姉妹、おっとりした長女の千鶴、勝ち気な次女の梓、無口でミステリアスな三女の楓、人懐っこい四女の初音。彼女達と何気ない会話を交わし、穏やかで怠惰な日常を送る耕一だったが、夢の中では獣じみた衝動が日に日に強まり、やがて夢の中で起こした凄惨な殺人が現実の事件として報道され…?

ゲームシステムは選択肢分岐型ADVの一種だが、前作『雫 -しずく-』とも異なり、『弟切草』(1992年)に似た特殊な形である。周回によって攻略できるヒロインがある程度決まっており、プレイを繰り返すことで新たな選択肢が増え、最終的に12種類のエンディングを迎える。中にはバッドエンド必至のルートもあり、それをこなさなければトゥルーエンド(ハッピーエンド)が迎えられない場合があった。

演出面では、前作から受け継ぐビジュアルノベル形式(全画面表示)や、会話に合わせて立ち絵を細かく変化させる点、実写取り込みの背景画像が印象的である。また、画面を引き裂くような爪痕、画面を覆うような血しぶきのアニメーションがあるなど、アクションシーンの演出にも工夫があり、これらは以後の他社作品にも影響を与えたと思われる。

シナリオは、前半と後半で大きく雰囲気が異なる。前半は四人姉妹との日常風景が中心で、明るく他愛ないやり取りや子供の頃の回想、父親や一族の死にまつわるエピソードが展開していく。一方、後半は凄惨な暴力描写や陵辱、セックス、バトルアクションを含み、重くシリアスな雰囲気である。ただし、グロテスクな情景描写はテキストのみで、CGは抽象的な表現に止まっている。

Hシーンはメインヒロインとなる四姉妹に一つずつで、他に雑誌記者やヒロインの友人、大学の同級生に陵辱シーンが用意されている。数は少ないものの描写は丁寧で、アダルトゲームとしての役割もおざなりにされてなかったのが分かる。

本作品は数年をまたぐロングヒットとなり、原画レベルで2度もリニューアルされた。派生作品にコミック版があり、同人作品の元ネタとしても人気を博したようだ。関連商品はフィギュアなど。

すべてのヒロインルートの攻略後、おまけシナリオとして4本のユーモア作品が開放される仕様となっていた。この内の一本が講談社の短編小説に酷似しており、講談社から盗作の疑いを直接指摘される事態になってしまう。このため2001年1月以降のロットからは、おまけシナリオを削除していることが3月に公表された。担当した新人脚本家はパロディを意図していたようだが、その点に関する明示をしていなかった。

本作品の個人的な印象としては、前作に続き「読ませる」ことに比重を置いた作品で、シナリオ重視のサスペンス要素は続きが気になり、奥行きもあって好感が持てる。泣きゲーのルーツに挙げられるだけあって、悲劇的な暗い展開が多いものの、特に泣き要素がメインになっている訳ではない。むしろ主人公のヒーロー性が際立つ「燃えゲー」の萌芽に特異性を感じるが、どうだろうか。
 

公式HP
http://leaf.aquaplus.jp/product/kzr/


調査担当