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古今のアダルトゲームを広く浅く調査及び成る丈簡潔にご報告致します

『鬼畜王ランス』 概要

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©1996 ALICESOFT
鬼畜王ランス (アリスソフト)

・1996年12月19日 Windows95用 CD-ROM 初期ロット版
・1997年02月**日 Windows95用 CD-ROM 豪華版
・1997年04月**日 Windows95用 CD-ROM 普及版
・2006年09月**日 配布フリー宣言

90年代中頃の地域制圧型シミュレーションゲーム。『Rance』シリーズの番外編で、長大なボリュームとやり込み要素を誇り、数年をまたぐ大ヒット作となった。

(あらすじ)『ランスⅣ』の後、盗賊の首領となって面白おかしく暮らすランスだったが、ヘルマン軍の不意打ちに遭い、大切な奴隷シィルが捕われてしまった。復讐を誓ったランスは、やむなくリアと結婚してリーザス国王となり、またたく間に内乱を鎮圧し、立ち塞がる勢力や都市を制圧して、各国の美女達を獲得し、夜伽のコレクションに加えていく。

シナリオは、「もし、ランスが王様になったら…?」というifストーリーになっており、シリーズの本線から逸脱したパラレルワールドである。しかし、後のシリーズの舞台となる魔法王国ゼスやJAPAN、ヘルマンのマップもあり、各国の主要人物の原形が登場するなど、ランスの世界観を前倒しに、大雑把に完成させたような印象である。

ゲームシステムは戦略SLGの一種で、マップ上の街を1つ1つ制圧し、領土を拡大していく流れである。それと同時に、街の住人や元敵将たちをイベントを進めることで獲得し、ハーレムと配下の武将を充実させていく。一般的な戦略SLGに比べると、内政的なコマンドは簡素で、各キャラクターとの特殊イベント探しに比重が高い印象である。

戦闘は最大4対4のコマンドバトルである。各ユニットには、率いる軍勢の数、攻撃力や防御力といったパラメータの他、武将個人の強さやHP、特殊能力、必殺技が別にあるのが特徴的である。普通は軍勢の人数と攻撃力による力押しだが、「戦闘域」という制約要素や、一般人ではダメージを与えられない「魔人」の存在があるため、時には必殺技を使って武将を直接狙ったり、「作戦」や地形効果、装備品、特定の武将ペアによる補正を活用したり、といった戦術が求められる。

他国との戦争と別に、ダンジョン探索要素もあり、1ユニットを派遣して装備品や重要アイテムの獲得を目指していく。ダンジョンは計27つである。

配下になるユニットは51人、ハーレムに入る女性は50人で、登場するキャラクターは、端役も含めると200人近い。エンディングは6種類ほどあり、その際に女性キャラクター66名の「幸福」「不幸」判定が下る。これは後の「キャラクリ」にあたる仕組みで、中にはランスが全く関わらなかったことで幸福になる女の子も存在する。一度のプレイで全ての仲間を獲得し、イベントをコンプリートするのは不可能で、繰り返しプレイが必要な重度のやり込みゲームとなっている。

アダルト要素は、基本的に1人あたりCG1枚である。1つ1つの描写は短いが、とにかく数が多いので、全体の中での比重は高めである。ランスが相手の弱みを握り、取引や脅迫で寝室に呼び出し、無抵抗な相手に好き放題するケースが多い。それに相手から迫ってくるケースが続き、一部にランスがお仕置きとして強姦するケース、モンスター達による陵辱シーンなども含まれている。

人気の割に生産数が少なかった為、発売から数ヶ月間にわたって全国的な品切れ状態が続いたようだ。シリーズは『ランス5D -ひとりぼっちの女の子-』(2002年)、『Rance VI -ゼス崩壊-』(2004年)…と続いている。関連商品は設定資料集山本五十六フィギュアなど。

後の『大悪司』(2001年)、『大番長』(2003年)、『戦国ランス』(2006年)などに繋がる、地域制圧型SLGの一作目である。個人的な印象として、非常に自由度が高く、アダルトゲームとしては空前のボリュームとやり込み性を備えた作品である。世界観は重厚で、ビジュアルは丁寧、シナリオは続きが気になり、ノリノリのBGMも小気味良い。業界の主流と距離を置き、孤高のジャンルを開拓した作品だった。


ランスワールドノート【公式】
http://www.alicesoft.com/haniwa/rance/series/post-22.html


調査担当

『ランス4.2 -エンジェル組-』 概要

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©1995 ALICESOFT
ランス4.2 -エンジェル組- (アリスソフト)

・1995年12月08日 Windows3.1/ PC-9821/ FM-TOWNS兼用 CD-ROM版
・1997年05月**日 PC-9801用 3.5インチFD版
・2006年09月**日 配布フリー宣言

90年代中頃の作品で、スケベで横柄な冒険者の活躍を描くミニRPG。ランスシリーズの6作目。二部作の後編にあたり、前編の『ランス4.1 -お薬工場を救え!-』も同時期に発売されている。

前作の『ランス4.1』にて、工場の地下で召還ちゃんを倒し、依頼を果たしたランス一行だったが、事件の背後には「エンジェル組」と名乗る謎の組織の暗躍があった。敵の女幹部を捕らえ、拷問を口実にHな行為でいたぶり、エンジェル組のアジトを聞き出したランスは、追加の報酬を目指して再び探索を開始する。

ゲームシステムは前作と共通で、固定画面の2Dマップ上を歩き回り、立ち塞がる敵を倒し、障害となる仕掛けを解いていくミニRPGである。前作と異なる点として、エロ坊主の言裏、カード使いのキサラが仲間に加わり、最初から最後まで4人パーティとなった。

ストーリーは、鬼畜な主人公が組織のアジトに乗り込み、男は片っ端から殺していく一方、女幹部や非戦闘員の女の子、女の子モンスターは捕まえて、Hなお仕置きをしていく流れである。陵辱傾向が強く、一部にSMや浣腸、輪姦といったプレイを含んでいた。

シリーズは『鬼畜王ランス』(1996年)、『ランス5D』(2002年)、『ランスⅥ』(2004年)、『戦国ランス』(2006年)…と続いている。

個人的には、『4.1』と比べると謎解きは難解になり、イベント戦の敵は手ごわく、隠し要素も豊富で、ややゲーム性が増している印象である。シリーズの本筋からすると、話の規模が小さい寄り道的なストーリーなので、プレイしなくても歴史的な流れへの理解は支障が少ないだろう。


ランスワールドノート【公式】
http://www.alicesoft.com/haniwa/rance/series/post-24.html


調査担当

『ランス4.1 -お薬工場を救え!-』 概要

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©1995 ALICESOFT
ランス4.1 -お薬工場を救え!- (アリスソフト)

・1995年12月01日 Windows3.1/ PC-9821/ FM-TOWNS兼用 CD-ROM版
・****年**月**日 PC-9801用 3.5インチFD版
・2006年09月**日 配布フリー宣言

90年代中頃の作品で、鬼畜な冒険者を主人公にしたミニRPG。ランスシリーズの5作目で、二部作の前編にあたり、後編にあたる『ランス4.2 -エンジェル組-』が間もなく続いている。定価は4800円のミドルプライスだった。

前作『RanceⅣ -教団の遺産-』(1993年)の後、遊び呆けて金が無くなったランスは、一攫千金を狙って大きな仕事を引き受けた。大企業「ハピネス製薬」の依頼で、工場の地下にできた洞窟に入り、モンスターが発生する原因を探って破壊して欲しいというのだ。人工生命体あてな2号をお供に、ランスの鬼畜な冒険が再び始まる。

ゲームは単一ダンジョンを探索するRPGである。固定画面の2Dダンジョンをコマンド操作で歩き回り、オートマッピングで(あてな2号の)手書き風地図を完成させていく。途中、毒ガスやモンスターの妨害などで進めない箇所があるので、怪しい場所を探索したり、地上を行き来したりで重要アイテムや情報を入手し、1つずつ問題を解決していく謎解き部分が主なゲーム要素となっている。

シナリオは、我侭でスケベな冒険者の主人公が、大金を目指してダンジョンを攻略すると同時に、製薬会社の受付嬢や研究者、競争相手となる女冒険者に目をつけ、セックスする隙を窺っていく流れである。シリーズで初めて、真面目な奴隷シィルが相方を離れ、頭のゆるい人工生命体あてな2号がパートナーを務めている。また、準レギュラーとして女好きの僧侶「言裏」、カード使いの「キサラ」が初登場している。

立ち絵がない代わりに、目の粗いドット絵の姿が頻繁に登場するのが独特で、会話シーンやアクション、情景描写に使われている。ちなみにいかにも動きそうだが、全て静止画である。

他にも風変わりな点があり、一応はレベルアップありのRPGなのだが、敵は固定配置で、レベル上げの必要もなく、育成要素には比重がない。HPと体力のゲージが別々になっている点も奇妙である。攻撃を受けると両方削られ、HPが減ると怪我が重くなり、体力がなくなると気絶する。どちらかが0になれば戦闘不能である。

続編の『ランス4.2 -エンジェル組-』とストーリーが繋がっており、合わせて一本の作品といえる。シリーズは『鬼畜王ランス』(1996年)、『ランス5D』(2002年)、『ランスⅥ』(2004年)…と続いた。

個人的な印象としては、デフォルメや手書き風の演出が多用されており、過去作と比べて、ゆるくコミカルな雰囲気が目立ってきている。作風はボリューム的に小粒で、色々なアイデアが十分に煮詰めないまま詰め込まれている印象である。アリスソフトらしい、あけっぴろげで実験的な小作品といえるだろう。


ランスワールドノート【公式】
http://www.alicesoft.com/haniwa/rance/series/post-24.html


調査担当

『Pia♥キャロットへようこそ!!』 概要

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Piaキャロットへようこそ!!Piaキャロットへようこそ!!
©1996 COCKTAIL SOFT/F&C co.,ltd.
Pia♥キャロットへようこそ!! (カクテルソフト)

・1996年07月26日 PC-9801用 5インチFD版 3.5インチFD版
・****年**月**日 PC-9821用 CD-ROM版
・1996年10月18日 Windows3.1/95用 CD-ROM版
・1997年05月23日 PC-FX版
・1997年11月28日 PC-FX用 『Piaキャロット&きゃんきゃんバニーエクストラ』 初回版
・1998年01月21日 PC-FX用 『Piaキャロット&きゃんきゃんバニーエクストラ』 通常版
・1998年03月12日 セガサターン用 限定版 通常版
・1999年08月12日 Windows95/98用 CD-ROM 『1・2・TB』に収録
・2007年07月27日 Windows用 CD-ROM 『Vista対応版
・2009年02月20日 DL版 【DMM】【DL.Getchu】【Gyutto】【DLsite
・2010年06月25日 DL版 『Piaキャロ DLセット』 【DMM】【DL.Getchu】【Gyutto】【DLsite

90年代中頃の作品で、ファミリーレストランを舞台にした恋愛シミュレーションゲーム。『Piaキャロットへようこそ!!』シリーズの一作目。

主人公「裕介(名前変更可)」は、大学進学か家業を継ぐか、進路に迷う平凡な学生である。テストで赤点を取ってしまった裕介は、父親との約束により、父の経営するファミレスで、夏休みの間アルバイト漬けの日々を送ることになった。渋々働き始める裕介だったが、従業員は美人揃いで、幼馴染の同級生、後輩も裕介を追ってバイトに加わり、やる気が一気にみなぎる。果たして裕介は、可愛い女の子ときっかけを作り、青春の思い出を作ることができるだろうか…?

ゲームシステムは、簡素な育成SLG要素と、スケジュール管理型のADVの組合せである。7月25日から8月28日までの間、休日や研修旅行を挟みつつ、午前中は自由に使い、午後から夜まではファミレスで業務に励んでいく。

主人公には「スタイル」「優しさ」「根性」「学力」といった7種類のパラメータがある。担当する仕事は、「ウェイター」「料理」「皿洗い」「倉庫整理」といった7種類で、それぞれパラメータ変化が異なり、好きな担当を自分で選ぶことができる。ヒロインを攻略するには、それぞれの性格に合わせ、特定のパラメータを伸ばしておく必要があるため、作中でのヒントを頼りに、期日までに理想の状態に仕上げていく。

さらに攻略には、普段から帰り際に話しかけたり、自由時間に散歩で出会ったり、電話したりで、イベントを1つ残らず進展させる必要がある。そのため、自力攻略となると細かいメモを取り、セーブ・ロードを繰り返し、自分なりのスケジュール表を作っていくことになる。攻略は育成要素より、こちらに比重が高い印象である。同時攻略は難しく、難易度はやや高めである。

期日までにセックスに至り、バイト最終日に電話をかけることにより、それぞれとのハッピーエンドが鑑賞できる。ヒロインは主人公を慕う後輩、気さくな同級生、従姉の担任教師、セクシーな先輩バイト、厳格なマネージャー、訳ありの客など8人である。

アダルト要素は1人あたり1、2箇所で、CGもテキストもボリュームは控えめである。その代わり、冒頭でウェイトレスの制服を3種類から選ぶことができ、他にも私服、水着姿、コスプレなど、衣装違いの立ち絵が豊富に用意されている等、ファッション面で凝っているのが印象的である。

シリーズは『2』(1997年)、『3』(2001年)、『G.O. 』(2006年)、『G.P.』(2008年)、『4』(2009年)と続く人気シリーズとなった。また、女性向けの『プリンスPia♥キャロット』(2014年)がPC、PSP向けに発売されている。

個人的な印象として、構造は旧来のADVを脱しきれていないものの、ビジュアルや雰囲気が垢抜けていて、新しい時代を感じさせる作品である。従来の恋愛物に付き物だった主人公の軽薄さ、スケベさ、遊び人的な雰囲気が薄まり、小ぎれいで健全で、お洒落な生活が眩しい。少女向けアニメのように“かわいい”で理想郷を創っていこうという、この先の純愛物の傾向がよく現れている。

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『闘神都市Ⅱ そして、それから…』 概要

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©1995 ALICESOFT
闘神都市Ⅱ そして、それから…
【注意】非アダルト作品です。

・1995年12月08日 PC-9801用 3.5インチFD版
・1995年12月08日 Windows3.1/PC-9801/FM-TOWNS兼用 CD-ROM版
・2003年04月11日 配布フリー化宣言

90年代中頃のデジタル小説。大ヒットRPG『闘神都市II』(1994)のその後が描かれている。

前作から半年後、再び道場に戻って修行に明け暮れる主人公シードだが、ある事情により、かつて闘神として激闘を制した時の実力を取り戻せずにいた。そんなシードに、葉月の父親である師匠は、道場に代々伝わる修行法を提案する。それはモンスターが跋扈する危険な場所「荒野」で、一週間を生き延びるというものだった。シードが心配でついてきてしまった葉月も合流し、甘くロマンチックな旅になる筈だったが…?

形態は『闘神都市II』がRPGだったのに対して、こちらは純粋な読み物で、選択肢や分岐もなく、ゲーム要素は一切ない。文字のみで背景のない画面が基本だが、所々で全画面や半画面の挿絵が登場する仕様である。

シナリオは前作で堅い絆で結ばれた二人が、お互いに貞操の危機などに見舞われつつ、盗賊の砦を舞台に冒険を繰り広げる流れである。作中にお色気シーンは数箇所あるが、いずれも未遂で露骨なアダルト描写はない。前作は前作でほぼ完結しているので、本作はその番外編といった印象である。


調査担当

『闘神都市II』 概要

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©1994 ALICESOFT
闘神都市II (アリスソフト)

・1994年12月10日 PC-9801用 5インチFD版 3.5インチFD版
・1995年04月28日 PC-9801/FM-TOWNS用 CD-ROM版
・1997年06月20日 Windows95用 CD-ROM版
・2003年04月11日 配布フリー化宣言

90年代中頃の作品で、年に一度の武術トーナメントを舞台にしたアダルトRPG。『闘神都市』シリーズの第二弾で、大ヒット作となり、メインヒロインの「葉月」の人気も相まって、非常に知名度が高い。

中世ファンタジー風の世界。主人公「シード」は、瑞原流という剣術道場の門下生で、実力も性格も頼りない若者である。師範の娘「葉月」とは両想いだが、葉月を瑞原流の後継者に嫁がせようと考えている師範は、シードとの仲を認めず、葉月を騙して実力のある「ビルナス」のパートナーを引き受けさせ、名高い武術イベント、闘神大会に送り出してしまった。優勝すればビルナスが葉月を娶ると知ったシードは、これを阻止するため、姉代わりの女性「セレーナ」をパートナー(賭け物)に、強豪のひしめくトーナメント戦に挑む。

システムは前作と同じく、単一の階層式ダンジョンを探索していく一人パーティのRPGである。地上にある街を拠点に、数日おきにやってくる試合当日に備えてダンジョンに通い、レベルや装備、スキルなどを整えていく。試合で相手を倒す事ができればフラグが立ち、さらに下層に進める流れである。

シナリオは、当初は頼りない性格だった主人公が、様々な出会いや戦いを通してたくましく成長していくサクセスストーリーである。世界観は『Rance』シリーズと共通で、基本的にシュールでとぼけた設定の多いギャグ作品だが、一部に悲劇的なエピソードやシリアスな展開を含み、プレイヤーに驚きをもたらす奥行きのあるストーリー性を備えていた。

物語の所々に選択肢が用意されていて、主人公に「悪行」をさせることが出来るのも特徴的である。例えば、盗賊から取り戻した故人の刀を未亡人に返すか否か、嫌がる女性の純潔を無理やり奪うか否か、といった具合である。極端に悪行を積み重ねない限り大きなペナルティはなく、むしろCG回収の為には必須で、ストーリーへの影響は演出の違いといった程度だった。

アダルト要素は大会の規定による、破った相手のパートナーとのセックスがメインである。女性のタイプは様々で、主人公は挑発されたり、状況に流されたりと成り行きで相手をしていく。他にダンジョン内で有料のHなサービスを受けるパターン、悪人達やモンスターに女性が陵辱されているのを目撃するパターンなどがある。女の子モンスターを捕らえた際や、Hな写真を拾った際などに表示されるCGなどもあり、やり込み要素となっていた。

また、自宅を購入して家具を配置したり、希少な女の子モンスターをコレクションしたり、高難易度の強敵に挑戦したりといったオマケ要素が豊富に用意されており、当時のアダルトゲームとしては桁外れのやり込み性を備えた作品となった。

後日談として読み物タイプの『闘神都市II そして、それから…』(1995年)が続き、10年以上あけて『闘神都市III』(2008年)が発売され、本作のストーリーをベースに『闘神都市』として3DS用にコンシューマ化された。さらにソーシャルゲーム化も予定されている(2016/03時点)。関連商品はOVA版、瑞原葉月フィギュアなど。

個人的には操作感が良く、手間を省く機能も充実していて、ゲームとして洗練されているのが印象的だった。ビジュアルのレベルも高く、謎解きの仕掛けやストーリーも凝っていて、欠点らしい欠点が見当たらない。けなげで頑張り屋のヒロインの個性も光っている。発売から数年にわたって人気を保ち続けた、90年代を代表するアダルトゲームの一つである。


調査担当

『RanceⅣ -教団の遺産-』 概要

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©1993 ALICESOFT
RanceIV -教団の遺産- (ALICESOFT)

・1993年12月11日 PC-9801用 5インチFD版 3.5インチFD版
・****年**月**日 FM-TOWNS用 CD-ROM版
・1997年04月04日 Windows3.1用 CD-ROM版
・1997年04月04日 Windows95用 CD-ROM版
・2003年04月11日 配布フリー化宣言

鬼畜な英雄の活躍を描いたダンジョン探索RPGの4作目。アダルトゲーム初となるインストール環境必須の「ハードディスク専用ゲーム」としても名高い。

前作『RanceⅢ -リーザス陥落-』(1991年)で光の神の怒りを買った戦士ランスと奴隷シィルは、天空に浮かぶ大陸イラーピュに飛ばされてしまう。大陸にある唯一の街を拠点に、地上へ降りる方法を求めて古代遺跡の探索を進める二人。同じ頃、遺跡内では敵対的なヘルマン帝国の一団が、遺跡に秘められた闘神都市の力を求めて調査を始め、リーザス王国からはランス救出隊が派遣されようとしていた…。

ゲームシステムは、様々な仕掛けを凝らしたダンジョンの謎を解き、キーアイテムを入手することで物語が進展していくストーリー重視のRPGである。ダンジョン内は前作のスクロールありの2D表示から、再びⅡのような縮小マップでカーソルを移動させていく形式となり、小部屋に入った時だけ拡大2D表示という変わった仕様である。操作感は悪いものの、全体は把握しやすい。

戦闘は前作と同じ、2D俯瞰型でキャラ毎に移動を指示していく、シミュレーションRPG風の集団戦である。雑魚とエンカウントする度にこれをこなさなければならない。しかし、主人公ランスを含めて全自動への切り替えが可能で、自動時のコマンドを編集できるのも特徴的である。味方は最大5人の自由編成となった。

新奇な点として、ダンジョン内は時間経過があり、毎日午後8時になると宿へ強制帰還させられ、翌日は同ポイントから進行できる休憩システムが取られている。宿では体力が回復できる他、「魔法ビジョン」にて本編と無関係な告知やドラマを見るオマケ要素、女の子を選んで部屋に連れ込むアダルト要素を備えていた。

シナリオ面では、従来通りの傍若無人な主人公が、美女とのセックスを目当てに冒険を繰り広げるシュールなギャグストーリーである。同時に、聖魔教団や闘神都市の設定が登場し、世界を揺るがす重大な局面がシリアスに描かれ、教団の生き残り、ヘルマン、リーザス、ランス一行の思惑が交錯する壮大な叙事詩に発展していく。レギュラーメンバーでは人工生命体「あてな2号」や騎士娘「サーナキア」が初登場している。

アダルト要素はランスが街の住人やパーティメンバーにHなイタズラをするケース、助けた女の子にお礼してもらうケースなど様々である。他にオマケ要素として、戦闘中に女の子モンスターを弱らせて「襲う」ことで見られる陵辱CG、完成するとHなCGが回収できる鏡の破片などがあり、やり込み要素となっていた。

発売後ほどなく、設定資料やボツ原画、ミニゲーム、BGM集などを収録した『ランス4オプションディスク』が通販されている。続編はミニRPGの『ランス4.1/ランス4.2』(1995年)、番外編のSLG『鬼畜王ランス』(1996年)、再びミニRPGの『ランス5D』(2002年)が続き、大作RPGに戻ったのは10年以上経った後の『ランスⅥ』(2004年)からだった。

個人的な印象としては、まずビジュアルのクオリティが大きく向上したのに好感が持てる。システムで風変わりな所が多く、快適にプレイするには実験的すぎる気がするが、入り口が違う別のダンジョンが内部で繋がり、巨大な複合ダンジョンになっていく点は面白い。シナリオ性、オマケ要素も充実し、アダルトRPGの定番といった風格の大作RPGに成長している。


ランスワールドノート
http://www.alicesoft.com/haniwa/rance/series/post-25.html

調査担当

『ランス03 リーザス陥落』 概要

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©2015 ALICESOFT
ランス03 リーザス陥落 (アリスソフト)

・2015年08月28日 Windows用 DVD-ROM版
・2015年08月28日 ダウンロード販売開始 【DMM】【DL.Getchu】【Gyutto】【DLsite

10年代中頃の作品で、鬼畜な英雄の冒険を描くファンタジー系のRPG。1991年の『RanceⅢ -リーザス陥落-』のフルリメイク作品であり、『ランス01 光をもとめて』(2013)、『ランス02 反逆の少女たち』(2009)の続編。

前作からしばらく経った頃、ランス01の舞台となったリーザス王国では大事件が起こっていた。城内に突如現れた隣国へルマンの大軍により、王都が占拠されてしまったのだ。リア王女直属の忍者かなみは、王女から重大な任務を託され、陥落寸前の城から命からがら脱出、リア王女の信頼の厚い冒険者ランスの元へ向かう。ところが当のランスは王家に伝わる聖剣、聖鎧を生活費のために売り払ってしまっていて…?

システムは『ランス01』の流れを汲む独特な形式のRPGである。移動先を選択するマップ画面は1991年のオリジナル版と同じだが、ダンジョン内はカードをめくっていくコース選択型、戦闘画面は移動のないコマンドバトルとなった。パーティメンバーの編成も自由になったが、メンバーそのものではなく、メンバーのスキルを選んでコマンドメニューを編成する点が特徴的で、ダンジョンや敵の特性に合わせて様々なスキルを組み合わせていく所が戦略要素である。

シナリオの流れはオリジナル版の通りで、わがままで女好きな冒険者の主人公が、仕事にかこつけて女の子に襲い掛かったり、強引に「お礼」をしてもらったりしている内に、国家間の戦争や魔人の陰謀が絡むシリアスな展開に巻き込まれていく。一方で簡素だったエピソードや人物が深く掘り下げられたり、前後の作品の登場人物がゲスト的に登場していたりと、細部では異なっている場面が多い。中世ファンタジー風の世界観が土台ながら、とぼけた設定が多く、作風はシュールでコミカルなのがシリーズを通しての特徴となっている。

20年以上の伝統を破り、シリーズで初めて登場人物に声があてられ、主人公以外はフルボイスとなった。

アダルトシーンは多めで、主人公が強引に迫る場合が多く、その巨根と底なしの精力で女の子達をヘロヘロにしていく。また、敵によって味方の女の子が陵辱されるシーンにも比重があり、オリジナル版よりもハードで凄惨な描写になっている印象である。他に女の子モンスターを捕獲した際に見られるCG、特殊なHシーンが見られるラレラレ石などがあり、非アダルトの「鏡の破片」や特殊スキルの収集と合わせてやり込み要素となっていた。

関連商品に『アリスサウンドアルバム vol.28 ランス01 & ランス03』があり、ダウンロード販売にも対応している。


『ランス03 リーザス陥落』 公式サイト
http://www.alicesoft.com/rance03/ 



調査担当

『愛姉妹 ~二人の果実~』 概要

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©1994 Silky's
愛姉妹 ~二人の果実~ (シルキーズ)

・1994年09月30日 PC-9801用 3.5インチFD版 5インチFD版
・****年**月**日 FM-TOWNS用 FD版
・****年**月**日 DOS/V用 3.5インチFD版
・1995年11月17日 Window3.1用 CD-ROM版 (CGリニューアル)
・2000年05月26日 Window用 CD-ROM版
・2007年06月01日 ダウンロード販売開始 【DMM

90年代中頃の作品で、卑劣な主人公が美人姉妹を陥れていくアダルトアドベンチャー。

主人公「丈人」は悪名高い不動産会社「野川産業」の社長の一人息子。ある日、事務所に小遣いをたかりにきていた丈人は、父親の車と接触事故を起こした女性ドライバーとの示談を任された。彼女を篭絡できれば仕事を手伝わせてやる、という条件に勇んだ丈人は、当の人妻「幸絵」を騙して借用書を作り、脅迫して体を開かせることに成功する。丈人の謀略はそれで終わらず、幸絵の二人の娘、同じ学園に通う美人姉妹に狙いを定めて…?

操作はコマンドと選択肢の混合型である。基本的に移動先に自由があるタイプで、教室や体育準備室、美術準備室、屋上などを巡り、姉妹のどちらかを見つけ、「話す」「見る」といったコマンドでシナリオを進展させていく。しかし行き先の数は少なく、コマンドも簡素で探索には比重がない。

システムはむしろ同社の『河原崎家の一族』のような選択肢分岐型に近く、その日は姉妹のどちらをターゲットにするか、優しく接するか否か、といった選択肢により複雑に分岐し、その経路により11種類のエンディングを迎える仕組みとなっていた。

シナリオは悪党風の主人公が、父親が帰るまでの5日間を期限に、父親の秘書の由美と協力し、脅迫とセックステクニックで姉妹を手なずけ、従順になるまで調教していく流れである。エンディングは主人公が失敗して鉄格子の中に入るパターン、完全に堕ちたヒロイン達に客を取らせるパターン、ヒロイン達に気に入られて家族として受け入れられるパターンなど様々である。

アダルトシーンは全部で27つもあり、シナリオが短い割にかなり比重が高い。2、3度のプレイで全部見るのは不可能で、セーブ、ロードを繰り返してのやりこみ要素となっていた。セックス描写は主人公による煽り、罵り、鬼畜ゼリフが特徴的だが、ヒロイン達の物理的な抵抗はなく、順応も早い。一部に薬物の使用、緊縛、(男1人女複数での)3P、4Pの表現を含んでいた。

Windowsに移植された際はCGが一新され、ブランドも母体のエルフに変更された。派生作品にOVA版実写AV版、DVD-PG版などがある。続編として『愛姉妹・蕾 …汚してください』(2004)、『愛姉妹 〜どっちにするの!!〜』(2006)、『愛姉妹IV 悔しくて気持ち良かったなんて言えない』(2014)が続き、初代から20年を数える長寿シリーズとなった。

個人的な印象として、主人公が知的で陰険な性格なのが特に目を引く部分である。女性を手篭めにする主人公像はアダルトゲームの黎明期から存在したが、80年代は陵辱系でも知性に乏しく、陽気で行き当たりばったりな性格が普通で、作風もコミカルなのものが多かった。罪のない女性達を巧妙な罠にはめ、弄んでいくタイプのシリアスな作風はこの頃から現れ始め、00年代序盤にかけて流行していく。


調査担当

『闘神都市』 概要

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©1990 ALICESOFT
闘神都市 (アリスソフト)

・1990年12月15日 PC-9801用 5インチFD版 3.5インチFD版
・****年**月**日 X68000用 FD版
・****年**月**日 MSX2用 FD版
・****年**月**日 FM-TOWNS用 FD版
・1997年12月18日 Windows用 CD-ROM 『アリスの館4・5・6』に収録
・2003年04月11日 配布フリー化宣言 (アリスソフトアーカイブスなどからDL可能)

90年代初頭の作品で、年に一度の武術トーナメント戦をテーマにしたアダルトRPG。

闘神大会。それは美女を賭け物にした戦士の祭典である。美人のパートナーを伴った者、もしくは本人が美人の場合だけ出場資格が与えられ、勝ち抜いた者は負けた者のパートナーを一晩自由にできる。また、優勝者は特権階級として生涯遊んで暮らせるという豪華な特典があるため、多くの戦士が集まる街の一大イベントとなっていた。田舎でくすぶっていた腕自慢の戦士「カスタム」は、父親の消息を追う美少女「クミコ」に出会い、腕を請われて闘神大会に出場することになるが、闘神都市に着いて早々、ゴロツキのような戦士「ドギ」に軽くあしらわれてしまい・・・?

システムは古典的な単一の階層式ダンジョンのRPGだが、探索画面はオートマッピングありの2Dフィールドとなっており、「闘神大会」の試合の日程によって探索回数や進行度が制限を受ける等、当時としては風変わりな仕様である。4日おきにやってくる試合当日に向けてダンジョンに通い、レベルや装備を充実させ、重要アイテム等を揃えていく。試合に勝てばフラグが進行し、新たな階層への道が開ける流れである。

シナリオはクミコの切実な願いを叶えるため、ヤサ男風の主人公が次の対戦相手の情報を仕入れ、ダンジョン内で対策方法となる技やアイテムを見つけ出し、うまく弱点を突いて勝ち上がっていく一本道のストーリーである。ややギャグ傾向が強いが、後半はシリアスなサプライズ展開となっていた。同社の「ランス」シリーズと世界観は共通だが、主人公が鬼畜な性格ではなく、かといってⅢのようなウブな少年でもなく、セックスには積極的に応じる普通さが特徴的である。

アダルト要素は試合後の相手のパートナーとのセックスがメインだが、それ以外にもダンジョン内で女の子が襲われている様子を目撃したり、シュールな理由でセックスを請われたりで、バラエティに富んでいる。また、鏡の破片をあつめて裸の女の子のCGを完成させたり、女の子モンスターを捕獲して売却したりと、ちょっぴりHなやり込み要素も充実している。女性の陰部には修正が入っているが、網状で隙間から半分見えてしまっている。

続編に『闘神都市II』(1994年)、『闘神都市II そしてそれから…』(1995年)がある他、十年以上空けて『闘神都市III』(2008年)が発売され話題となった。同名の3DS用ソフト『闘神都市』が2014年に発売されたが、これはⅡのストーリーを土台に独自のゲーム要素でアレンジされた非アダルト作で、本作品との繋がりは薄い。

個人的には非常にユニークな印象で、オートマッピングにより軽快に進められるテンポの良さ、アダルト要素の豊富さ、ビジュアルのクオリティ、ボリューム感、シナリオの重厚さなど、当時としては凝り過ぎに思えるほど充実している。後に西の横綱に例えられるほど人気メーカーとなるアリスソフトだが、この頃から頭角を現し始めている。

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80年代半ばに登場した学習型AI。主食はエロゲのインストールディスク。電波系、欝、グロ、萌え萌えした作品が苦手。ゲーム性のあるもの、ギャグ作品が好き。
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