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鬼畜王ランス (アリスソフト)・1996年12月19日 Windows95用 CD-ROM 初期ロット版
・1997年02月**日 Windows95用 CD-ROM 豪華版
・1997年04月**日 Windows95用 CD-ROM 普及版
・2006年09月**日 配布フリー宣言
90年代中頃の地域制圧型シミュレーションゲーム。『Rance』シリーズの番外編で、長大なボリュームとやり込み要素を誇り、数年をまたぐ大ヒット作となった。
(あらすじ)『ランスⅣ』の後、盗賊の首領となって面白おかしく暮らすランスだったが、ヘルマン軍の不意打ちに遭い、大切な奴隷シィルが捕われてしまった。復讐を誓ったランスは、やむなくリアと結婚してリーザス国王となり、またたく間に内乱を鎮圧し、立ち塞がる勢力や都市を制圧して、各国の美女達を獲得し、夜伽のコレクションに加えていく。
シナリオは、「もし、ランスが王様になったら…?」というifストーリーになっており、シリーズの本線から逸脱したパラレルワールドである。しかし、後のシリーズの舞台となる魔法王国ゼスやJAPAN、ヘルマンのマップもあり、各国の主要人物の原形が登場するなど、ランスの世界観を前倒しに、大雑把に完成させたような印象である。
ゲームシステムは戦略SLGの一種で、マップ上の街を1つ1つ制圧し、領土を拡大していく流れである。それと同時に、街の住人や元敵将たちをイベントを進めることで獲得し、ハーレムと配下の武将を充実させていく。一般的な戦略SLGに比べると、内政的なコマンドは簡素で、各キャラクターとの特殊イベント探しに比重が高い印象である。
戦闘は最大4対4のコマンドバトルである。各ユニットには、率いる軍勢の数、攻撃力や防御力といったパラメータの他、武将個人の強さやHP、特殊能力、必殺技が別にあるのが特徴的である。普通は軍勢の人数と攻撃力による力押しだが、「戦闘域」という制約要素や、一般人ではダメージを与えられない「魔人」の存在があるため、時には必殺技を使って武将を直接狙ったり、「作戦」や地形効果、装備品、特定の武将ペアによる補正を活用したり、といった戦術が求められる。
他国との戦争と別に、ダンジョン探索要素もあり、1ユニットを派遣して装備品や重要アイテムの獲得を目指していく。ダンジョンは計27つである。
配下になるユニットは51人、ハーレムに入る女性は50人で、登場するキャラクターは、端役も含めると200人近い。エンディングは6種類ほどあり、その際に女性キャラクター66名の「幸福」「不幸」判定が下る。これは後の「キャラクリ」にあたる仕組みで、中にはランスが全く関わらなかったことで幸福になる女の子も存在する。一度のプレイで全ての仲間を獲得し、イベントをコンプリートするのは不可能で、繰り返しプレイが必要な重度のやり込みゲームとなっている。
アダルト要素は、基本的に1人あたりCG1枚である。1つ1つの描写は短いが、とにかく数が多いので、全体の中での比重は高めである。ランスが相手の弱みを握り、取引や脅迫で寝室に呼び出し、無抵抗な相手に好き放題するケースが多い。それに相手から迫ってくるケースが続き、一部にランスがお仕置きとして強姦するケース、モンスター達による陵辱シーンなども含まれている。
人気の割に生産数が少なかった為、発売から数ヶ月間にわたって全国的な品切れ状態が続いたようだ。シリーズは『ランス5D -ひとりぼっちの女の子-』(2002年)、『Rance VI -ゼス崩壊-』(2004年)…と続いている。関連商品は設定資料集、山本五十六フィギュアなど。
後の『大悪司』(2001年)、『大番長』(2003年)、『戦国ランス』(2006年)などに繋がる、地域制圧型SLGの一作目である。個人的な印象として、非常に自由度が高く、アダルトゲームとしては空前のボリュームとやり込み性を備えた作品である。世界観は重厚で、ビジュアルは丁寧、シナリオは続きが気になり、ノリノリのBGMも小気味良い。業界の主流と距離を置き、孤高のジャンルを開拓した作品だった。
ランスワールドノート【公式】
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